WEB3.0の分析に有用な「DuneAnalytics」を解説します。
いまはまだWEB3.0の分析市場は日本にはやってきていません。しかし、今後間違いなく、WEB3.0の市場の立ち上がりに伴い、WEB3.0の分析市場ができてくるでしょう。
データサイエンティストのキャリアを伸ばすには、自身が身を置く領域が非常に大切です。
いまから成長市場であるWEB3.0を学び、将来的に有利なキャリアを築いていきたいデータサイエンティストの方は必見の記事内容です。
この記事ではWEB3.0での分析プラットフォームとして、市民権を得始めている「DuneAnalytics」について解説します。
この記事を読むと、WEB3.0での分析の概要がつかめます。
結論は「とにかく一度やってみよう」ということです。では、本題に移ります。
WEB3.0の分析プラットフォーム
WEB3.0では様々な分析プラットフォームがあります。
誰しもアクセス可能なブロックチェーン上のデータですが、いざアクセスしようとすると専門的な知識や労力がかかります。
そのため、各組織が分析のためにデータを取得・加工して分析者が簡単に分析できる環境を整備しています。
分析プラットフォームには主に下記の2つのプラットフォームがあります。
- コミュニティ志向のオープン型プラットフォーム
- ビジネス志向のソリューション型プラットフォーム
下記がWEB3.0で主要な分析プラットフォームです。
⇒WEB3.0の分析プラットフォームについてもっと知りたい方はこちら
DuneAnalyticsとは?
DuneAnalyticsは「コミュニティ志向のオープン型プラットフォーム」であり、誰でも無料で簡単に分析することができる分析プラットフォームです。
Docが丁寧に整備されており、分析コミュニティも活発であることからWEB3.0を始めるには非常に使いやすいプラットフォームになっています。
有料プランもありますが、個人で利用する範囲なら完全無料で利用できます。
主にイーサリアムベースにブロックチェーンを主として扱っていますが、ビットコインなどの主要プロトコルも分析可能です。
特徴的なのはプロトコルを跨いで(クロスチェーンで)分析できる環境を整えていることです。NFT・DEXなど各市場ごとにデータが管理されており、包括的な分析が可能です。
DuneAnalyticsができること
DuneAnalyticsでできることは下記があります。
- ダッシュボードの検索
- SQLを使ったクエリによる分析
- APIを使ったデータのエクスポート
詳しく解説していきます。
ダッシュボードの検索
一つ目は「ダッシュボードの検索」です。
DuneAnalyticsで世界中のデータ分析者から分析結果・ダッシュボードが提供されています。ダッシュボードを検索して任意の情報を取得することができます。
下記は「Bitcoin」で検索した結果です。193件の分析結果・ダッシュボードがヒットしました。
最も評価の高い「Bitcoin Ordinals Analysis」を見てみます。下記のように様々な分析結果が列挙されており、Bitcoinの概要を知ることができます。
また、分析者にとって非常に嬉しいことが、それぞれのダッシュボードがどのようなクエリで作成されているかも確認することができることです。
下記が、実際に実行されているクエリです。
実際に分析結果を見ながら、実行されているクエリを見て学ぶことができるため、効率的にWEB3.0の分析スキルを向上させることができます。
SQLを使ったクエリによる分析
二つ目は「SQLを使ったクエリによる分析」です。
SQLを用いて任意の形でデータ抽出・分析が可能です。また、ダッシュボードライクな可視化機能もあり、即座にビジュアライズできます。
下記は、2023年6月1日~6月30日の取引回数を抽出した結果です。
「①クエリ」部分でクエリを下記、「➁結果表示」部分で可視化を行います。
また、右上に小さく書かれている「API」というボタンでデータを簡単にエクスポートすることも可能です。より高度な分析を実施したい場合は自身の環境に持ち込んで分析することができます。
このように、DuneAnalyticsは使いやすいインターフェースを提供しており、WEB3.0の分析者にとって優れたか環境を構築しています。
APIを使ったデータのエクスポート
三つ目は「APIを使ったデータのエクスポート」です。
DuneAnalytics上に存在するデータをエクスポートして、別の環境で分析することができます。APIはアカウントを作成するだけで利用することができます。(プランによって利用制限あり)
APIを利用するには「dune-client」というパッケージをこちらからインストールする必要があります。
また、APIキーは自身の設定画面から発行することができます。一度限りの発行になるので注意が必要です。
下記の設定画面の「API」から「+ Create new API key」から作成ができます。
「dune-clientのインストール」と「APIキーの取得」ができれば、APIを利用することができます。
下記が利用のガイドラインです。詳しくはこちらを参照ください。
DuneAnalyticsは非常に多くの機能を無償で提供しています。
今後、WEB3.0の領域で分析を行う際は必須となるツールです。興味深い領域であるので、少しでも興味がある方はぜひ触ってみてください。
⇒DuneAnalyticsでBitcoin分析をやってみた記事はこちら
⇒DuneAnalyticsでDEX(分散型取引所)の分析をやってみた記事はこちら
⇒DuneAnalyticsでNFTマーケットプレイス「OpenSea」を分析した記事
DuneAnalyticsの特徴
DuneAnalyticsの特徴について解説していきます。
DuneAnalyticsが優れている点はブロックチェーン上のデータが抽象化されて、分析しやすい形でまとめられていることです。
下記が、イメージ図になります。
通常の分析プラットフォームではブロックチェーン上の生データを簡単に触れる環境を用意しています。
しかし、DuneAnalyticsの場合はさらに抽象化してデータを人間にわかりやすい形で加工したカスタムテーブルを整備しています。
最終的にはNFTの取引をすぐに分析できる「nft.trades」やDEX取引をすぐに分析できる「dex.trades」などにまでまとめられており、それぞれの市場を即座に分析することができます。
詳しく知りたい方はこちらの公式Docを参照ください。
このようにDuneAnalyticsはデータ分析者目線で使いやすいカスタムテーブルを構築していることが大きな特徴です。
DuneAnalyticsの登録方法
DuneAnalyticsの登録方法は非常に容易です。
まずは、DuneAnalyticsの公式HPに移動します。右上の「Sign up」のボタンを押します。
すると、ユーザー名・メールアドレス・パスワードを求められるので入力します。
すると、認証メールが届くので、認証番号を入力すれば完了です。
非常に容易に登録できるので、登録だけでも進めることをおすすめします。
DuneAnalyticsで分析できるプロトコル
DuneAnalyticsでは現時点(2023年7月)で下記のプロトコルを取り扱っています。
公式Docでも「Non-EVM Chains」「EVM Chains」で分けて説明されており、こちらでも同様の説明を用います。
- EVM Chains:Ethereum Virtual Machineを使用するブロックチェーンやプロトコルのことを指します。EVMを採用することで、Ethereumとの相互運用性やスマートコントラクトの実行が可能となります。
- Non-EVM Chainsとは、EVM(Ethereum Virtual Machine)を使用しないブロックチェーンやプロトコルのことを指します。
下記が具体的なプロトコルです。
Non-EVM Chains:
- Solana:
高速なブロックチェーンプラットフォームで、高いスケーラビリティと低いトランザクションコストを持つ。スマートコントラクトにも対応している。 - Bitcoin:
最初のブロックチェーンであり、分散型デジタル通貨である。トランザクションの確認にProof-of-Work(PoW)を使用している。
EVM Chains:
- Ethereum Mainnet:
オリジナルのEthereumブロックチェーン。スマートコントラクトとdAppsの開発によく使われている。 - Gnosis (previously xDai):
イーサリアムを拡張したスケーラブルなプラットフォーム。安定したトランザクションコストと高いスループットを提供。 - Polygon (POS):
イーサリアム互換のLayer 2スケーリングソリューション。Proof-of-Stake(PoS)を採用し、高速で廉価なトランザクションを可能にする。 - Optimism:
イーサリアムのLayer 2プロトコルで、スケーラビリティを向上させる。スマートコントラクトのオーバーヘッドを削減することに焦点を置いている。 - BNB (Binance Smart Chain):
Binanceが提供するスマートコントラクトプラットフォームで、高速なトランザクションと低い手数料を提供。 - Arbitrum:
イーサリアムのLayer 2スケーリングプロトコルで、高速かつ安全なスマートコントラクトを実現。 - Avalanche (c-chain):
高いスケーラビリティを持つアプリケーションプラットフォーム。異なるブロックチェーンを統合し、相互運用性を向上。 - Goerli (Ethereum):
イーサリアムのテストネットで、開発者がスマートコントラクトをテストするために利用される。 - Fantom:
ハイブリッドコンセンサスアルゴリズムを持つオープンソースのスマートコントラクトプラットフォーム
詳しくはこちらの公式Docを参照ください。
DuneAnalyticsはWEB3.0の分析プラットフォームの中でも注目されているプラットフォームです。
今後、さらに多くのプロトコルに対応されることが期待できます。
DuneAnalyticsを使った稼ぎ方
DuneAnalyticsを使った稼ぎ方についても解説していきます。
DuneAnalyticsで分析した結果をMetricsDAOが運営する「Analytics Challenges」に提出することで報酬を受け取ることができます。
MetricsDAOとは公平かつ柔軟なマーケットプレイスを構築するための分析コミュニティと位置付けられ、語弊を恐れずに表現するとWEB3.0版のKaggleのようなものです。
Analytics Challegnesでは定期的に分析課題が発出され、課題に応じた報酬金(バウンティ)が設定されます。
これらの課題に対する分析結果を提出することで報酬金を受け取ることができます。
Analytics Challegnesはどのような分析プラットフォームを使っても、問題がありません。そのため、クロスチェーンで分析可能なDuneAnalyticsは非常に有用なツールでしょう。
報酬を受け取るにはmetamaskなどのウォレットを保有している必要があります。
詳しくはこちらの公式FAQをご覧ください。
DuneAnalyticsの情報収集方法
DuneAnalyticsでは分析コミュニティが形成されており、コミュニティ内で情報取集することができます。
- 公式Doc(https://dune.com/docs/)
- X/Twitter(https://twitter.com/DuneAnalytics)
- Discordコミュニティ(https://discord.com/invite/ErrzwBz)
これらの情報源から最新の情報を取得することができます。
基本的なWEB3.0の知識があれば、理解できることも多いため、まずは覗いてみることをおすすめします。
まとめ【まずは体験してみよう!】
今回はWEB3.0で有用な分析プラットフォームDuneAnalyticsについて解説しました。
WEB3.0の分析を実施するためにDuneAnalyticsは非常に有用であり、データ分析者にとって使いやすいプラットフォームです。
まだ、日本ではWEB3.0の分析市場は立ち上がっていませんが、海外を中心に徐々に分析市場が立ち上がってきています。
今後、日本でもWEB3.0の市場が立ち上がれば、急速に需要は拡大していくでしょう。
そのためには、いまからWEB3.0の世界に身を置いておくことが重要です。
WEB3.0を少しでも体験してから、DuneAnalyticsを触ることで理解が早まるでしょう。
WEB3.0に身を置く第一歩は仮想通貨取引所に登録することです。
下記におすすめの仮想通貨取引所「Coincheck」の始め方を解説しているので、まずは一度登録してWEB3.0の世界に飛び込んでみましょう!
WEB3.0の世界へ早く飛び込んでおくことで、先行者としての利益を享受することができます。
共にWEB3.0を学んでいきましょう。今回は以上です。